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セーブルの歴史

フランス陶磁史は、この国の歴史に劣らぬほど波乱に満ちています。スペインから流入した近世時期マジョリカ焼きの影響から脱してフランスが独自の道を歩みだしたのは、16世紀に入ってからのこと。
中でも古窯ルーアンは、マイセンに先んじてヨーロッパで初めて白色磁器の焼成に成功したと伝えられています。

しかし、それはベッドガーが作り出した真性磁器ではなく軟質磁器で、その後ほぼ一世紀のあいだ、ムスティエ、マルセイユ、ソー、サン・ポール、シャンティなどがこれを作り、フランス磁器の主流となりました。
フランスが誇るセーブル窯の前身ヴァンセンヌ窯は、デュボア兄弟が国王の支援を得て開窯。ポンパドール婦人の助力もあって、王立窯として発展を遂げています。

これらの”磁器”はすべて軟質磁器で、フランスで硬質の真性磁器が焼成されるようになったのは、1767年、リモージュの近郊でカオリンが発見されてからのこと。この発見によってリモージュにはレイノー、ベルナルド、アビランド等々が開窯、一気にフランス磁器が開花したのです。
1756年、ルイ15世の寵愛を受けた、ポンパドール夫人の提案で王立御用達ヴァンセンヌ窯が、パリからベルサイユの眼下セーブルの地へ移されました。1759年、フランス王立セーブル製陶所となり、国窯として2世紀半、今もフランスの文化と美を伝える優れた陶磁器を生み出し続ける国立セーブル製陶所の歴史はここに始まります。セーブルの功績は、国家的使命ともいえるフランス独自の意匠を確立し、時代を反映した、完成度の高い芸術作品を作り続けてきたことにあります。

18世紀、その前身でもあるヴァンセンヌ窯(1738年設立)は、東洋芸術の模倣が顕著でした。セーブルは、その様式をうけつぎながらも、当代一流の化学者、画家、彫刻家、金工家の参加によって独自の世界を創造しました。「王者の青」「ローズ・ポンパドール」と呼ばれるセーブルの色、華美で鮮麗な装飾、独特の風合を持つソフトペーストなど、ヨーロッパ陶磁器界でも他の追随を許さないセーブル芸術が、宮廷文化の中に華開いたのです。
こうしてセーブルは、当時ヨーロッパに君臨したベルサイユ宮殿を飾るにふさわしい豪奢にして繊細、華麗にして優美な陶磁器を製作しました。また、時の王や王妃の日用品、贈り物にも用いられ、時代様式を色濃く反映して、まさに富と権力の象徴として発展していきます。盛名を馳せたセーブルも、国窯という背景から生産は非常に限定され、世の人々の目に触れることはなく、「希少な陶磁器」と呼ばれました。
今日に至っても、生産量は年間約6000ピースと限定され、そのほとんどがフランス国家のために作られます。この少量生産は、「最高の作品を作り出す」ための必然であり、その稀少性ゆえに、誇り高きセーブルの名声は一段と高まっています。

セーブルの技法

18世紀の開所以来ヨーロッパ陶磁器界に君臨するセーブル。芸術性を尊ぶ精神と常に完璧な作品を生み出してきた姿勢は、セーブルの誇りでもあり、製作に携わる職人の誇りでもあります。彼らは厳しい競争の中から選りすぐられ、理論的かつ実践的な長い修練を積み重ねています。その優れた技術と情熱の結晶がまさにセーブルなのです、特に、成形、絵付けなどは、そのプロセスを一人の専門家が担当しており、芸術的感性の華開く場となっています。18世紀来の技法、熟練した職人芸、優れた感性は、工場の24カ所の作業場で今日も日々展開されています。

成形

成形

セーブルの4種の成形法のうち、18世紀より伝来のろくろによる成形法は、セーブルにとって不可欠な技法です。カップ、花瓶などの典雅なる曲線美は、すべてこのろくろと職人の手で生み出されるのです。一方、ビスケットは、成功な石膏型で最初の形が作られた後、オリジナル作品を見ながらの仕上げがなされます。貼り合わせ。彫り込みなど、繊細かつ力強い職人芸によって、写実的で躍動美あふれる作品が復刻されるのです。

素塗り

素塗り

セーブルの地色は、色によって、重ね塗り、たたき、こすりなどの巧みな刷毛さばきが使い分けられています。艶のある地色の美しさは、この伝統的な技法と熟達した職人芸なくしては生まれません。

絵付け

絵付け

花、鳥、森、城などの素材を多彩な色で描き出すセーブルの華麗な装飾。絵付け師は、数千種類に及ぶ絵具を駆使し、宮廷文化を飾ったオリジナルを復元します。

金絵付け

金絵付け

金彩文様は24金を転写紙で刷り込み、贅沢にも再び、刷毛で金粉を施したものです。この転写紙も、デザインを銅版に彫り込んだセーブルのオリジナルです。また直接筆で丹念に絵付けされる文様もあります。焼成後、メノウなどで研磨された金彩は量感にあふれ、その贅沢な輝きと艶は類いまれな美しさです。

セーブル(Sevres)のマーク

国立セーブル製陶所では、18世紀の開所以来作品の裏面に生産に関する情報を意味するマークを施しています。それらのマークは時代の移り変わりに応じて変遷しており、まさに2世紀半にわたるセーブルの歩みを物語っているといえます。セーブルの生産情報とは、成形・焼成・装飾のなされた時代、ペーストの種類、そして製作に携わった職人たちのサインです。記号や紋章が用いられ、施す方法も様々であるため、一般には正確に読み解くことは困難です。しかし、セーブルには、このマークの歴史的変遷や定義についての記録があり、作品の正しい系譜を遡れます。また、成形職人や、絵付け師のサインは、セーブルの製陶に対する真摯な姿勢のあらわれであり、誇り高き職人芸を裏付ける証といえるものです。

セーブル(Sevres)のマーク

年代別マーク一覧

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