この作品は十八世紀の技法による軟質磁器PT(ソフトペースト)によって制作されています。
このカップと受け皿は複数の工程を通して制作されています。形体はクレー(流し込み)技法によるものです。本体は最初に釉薬無しで1280度で「白磁素焼き(ビスキュイ)」の状態に焼きつけます。パープルの彩色はセーブル工房独自の技法プチ・フー(金や色彩を低温で焼き付ける)により仕上げられ専用の工房で絵の具を塗った上にイタチの毛の刷毛でむら無くなじませます。金線彩は筆でなじませます。マットな24金なので、瑪瑙や赤鉄鉱石を使って磨き、光沢を出します。
天才的クリエーターであるJacques-Emile Ruhlmann(ジャック-エミール・リュールマン)(1879~1933)は20世紀の偉大な装飾芸術家のひとりです。「クラシックな現代性」のもとに製作した家具で彼はその才能を発揮し、1925年の国際装飾芸術展示会で「リュールマン様式」という豪華で計算されたスタイルを生み出しました。作品ごとに幾何学とエレガンスを併せ持つ熟練の成果が見られます。工業立案者、デザイナー、演出家でもあるリュールマンの仕事は室内装飾、照明デザイン、タピストリー、陶磁器などあらゆる分野に渡りますが、家具の分野における高い評判がそのエッセンスと言えます。彼はフランス国立セーブル陶磁器製作所工房で数々の造形をデザインしました。後年Francois Imhoff(フランソワ インホフ)によりそれらの作品が多く制作されました。